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2009/12
芝蘭会京都支部新年名刺交換会が次のとおり開催されます。
 

日時 : 平成22年1月10日(日)午前11:00〜
場所 : 芝蘭会館(講演終了後、新年会パーテイを行います)
講演 : 「現代日本の対外経済政策」
     講師 今久保幸生 京都大学公共政策大学院教授

(講演要旨 2010.1.10)
 世界的な金融危機が発生した2008年秋には、米欧の金融システムが十分機能しなくなる一方、日本は金融機関が比較的健全なため影響は軽微と見られていた。だが、世界同時不況の日本経済への影響は欧米より大きく、その実質GDPは欧米を超えるペースで下落した。
 日本経済が陥ったこの逆説的な事態は、景気変動を超える要因に基づく。現代の世界経済は、「新興国経済」の興隆を主因とする構造変化の過程にあり、世界同時不況もこの変化と密接に関連している。この過程において、欧米先進国は、後進国工業化による追い上げを受けた19世紀末以来の経験に基づき、後者の成長力の取り込みを含む有効な措置を講じている。また新興国経済の興隆は世界同時不況を経た後も続いている。一方、日本経済は、史上初めて新興国経済から追い上げられる立場となり、追いつき追い越せという目標が自明でなくなったにも拘わらず、この変化への対応が遅れ、そのために新興国経済の興隆の影響を受け止めきれず、欧米先進国経済に対する競争力も低下させつつある。上記の逆説的事態は、日本経済が、対米直接・間接輸出や波及効果の大きい高付加価値品等の輸出への依存度を高めていたため、世界同時不況を契機とするそれらの輸出の急減の影響をまともに受けたことによるのであり、追いつき追い越せ型の体質を維持したまま世界経済の構造変化への対応が遅れたことがその根底的要因である。他方、内需の6割近くを占める民間最終消費が不況前からの所得の伸び悩みにより低迷していることも見逃せない。 その結果は、世界経済における日本の地位の顕著な傾向的低下となって表れている。第一に、世界の国内総生産(GDP)に占める日本の比率は、一時米国に次いで約18%であったが、1995年以降年々低下し、2008年には8%にまで落ち込み、今後もさらに低下する見込みである。一方、EU27の比率は30〜31%(2007/08年)、米国のそれは25.5%(2007年)となっている。また、IMFは中国が2010年にGDPシェアで日本を抜くと予測している。第二に、国民の豊かさの一指標である一人当たり名目GDPも、日本はOECD加盟30カ国中の3位(2000年)から19位(2007年)と急落し、G7では最下位となった。第三に、スイスのIMD(国際経営開発研究所)による国際競争力ランキングにおいても、日本の総合順位は調査が開始された1989年から5年連続で1位であったが、その後徐々に順位を落とし、1998年に20位、2008年に22位となっている(『通商白書』2008-09)。

 ここからすれば、日本経済の課題は、なによりも、世界経済の構造変化に確実に対応することにより、その地位の低下に歯止めをかけ、また地位の再引き上げを実現すること、であろう。具体的課題としては次の諸点が挙げられる。@対米等への依存度の高い貿易構造を改めて、成長性の高い様々な市場に進出すること、換言すれば、欧米を含む貿易相手国および貿易・生産品目の多様化を図ること、A新興国との、またその中でもとくに成長著しい東アジアとの貿易や直接投資等の経済関係を拡大・深化させ、これらの成長力を持続的に取り込むこと、B資源国との関係強化を通じて、日本経済が今後も必要とする資源エネルギーの安定確保を行うとともに、先進環境技術を活かして「低炭素革命」の世界的展開における競争優位を確保すること、C産業構造の高度化・生産性の向上・対内直接投資の拡大と、経済力の基盤である人口の減少に歯止めをかけることを通じて内需の拡大を図り、また食料安全保障の観点から欧米に比肩する食料自給率の引き上げを図ること。 そのための主要な対外経済政策としては、@WTOによる自由貿易の推進とともに、とくに東アジアFTA(自由貿易協定)/EPA(経済連携協定)・投資協定等の推進、A「通貨と満期のダブルミスマッチ」の予防や域内資金循環を可能にする東アジア通貨・金融協力の強化、B貿易相手国の多様化のための、東アジア外の先進国・新興国等とのFTA/EPA等の締結・拡大、C資源国への産業協力の重層的展開、D技術力の向上とその世界的影響力を拡大するための、技術開発支援並びに知財・国際標準化戦略の強化、E環境技術立国の実現と、世界経済の持続的成長を先導するグローバル環境戦略の展開、等が考えられる。


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